思えば最初は私も別の存在だった
あなたに気に入られ選ばれもした
それが少しずつ変わっていったのに
気付いたのは一体いつ頃だっただろう
あなたは他のお気に入りを見つけ
私を少しずつ遠ざけていった
それでも使ってくれているのだから
きっと私は必要なのだろうと思い
勝手にそれを「大切さ」と勘違いして
役に立てばきっとまた気に入られると
信じて近くで せっせと働いた
朽ちても構わないと本気で思っていた
誰かがやらなければいけない仕事
それをあなたはいつも私に任せる
「お気に入り」にはさせられない仕事だけを
当たり前の様に私に押し付けていく
そして「便利」だと言って洗ってはくれるけれど
もう私のことを見つめてくれることはない
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