これだけは絶対に壊さないように
そればかりを一人気にし続けて
体をはって守りながら生きてきた
他を全て犠牲にしても
これだけはきっと守りぬくのだと
神経をすり減らし歩いてきた
壊れた音が聞こえたのを
認めてしまうのが嫌だっただけで
何度も聞こえた「ガチャッ」という音に
気付かないふりをしていただけで
本当はとっくの昔に壊れたと
心では知っていたのかもしれない
大切にずっと持ち歩いてきていた
パックの中の玉子はいつの間にか
壊れ無残な姿に変わっていた
それにようやく気付かされた私の
バカさ加減を裏付けるように
干乾びた玉子が私を見つめてる
|