その時計はいつも同じ時間を指していた
壊れている筈は決してないのに
壊れてはいないと他人(ひと)は言うのに
僕が見るとそれは
いつも同じ時間を指していた
がむしゃらに走り回っていた時も
云々と眠れぬ時間を過ごした時も
気が付けばいつもその時計だけは
やはり同じ時間を指していた
電池を換えても
修理に出しても
苛立ち無理矢理針を動かした時も
気が付けばやはりいつも
同じ時間を指していた
僕の努力など記憶に無いかの様に
無駄なことをしているのだろうか?
僕を見つめるその無表情の時計に
ある日堪らず尋ねてみた
このままいつもこの状態のまま
こんな風にして終わってしまうのだろうか?
何も変わらず
何も変えられぬまま
まるで僕など存在しなかったかの様に
結局は終わってしまうのだろうか?
焦り何度も問いただす僕を
その時計はいつまでも黙って見ていた
同じ時間をずっと指したまま
ただ黙ってこちらを見ているだけだった
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