カエルはその日もまたいつもの様に
新しい住処を探して歩いていた
それまでに何度も池を見つけては
入ってみたがどうにも居心地が悪くなった
そこに馴染もうと努力をしたり
住むだけなのだと割り切ってみたり
前よりはましだと自分を慰めたり
仕方がないのだと我慢をしてみたりを
何度も繰り返しその場に住みつこうとした
小さい方が落ち着くだろうと
水溜りを見つけ入ってみたが
馴染む前に干乾びていった
大きければ気兼ねが無いだろうと
海に向かって進んでみたが
そこには入れないと言われてしまった
独りの方が気が楽だと
井戸に入って静寂を楽しんでみたが
その内やっぱり寂しくなった
ある日川で溺れた河童を見つけ
仲良くなろうかと話しかけてみたが
河童のプライドにカエルは合わないらしい
いつか綺麗なお姫様の口付けで
王子の姿に変われるのではと
夢を見ながら素敵な出逢いを待ったりもしたが
思ったよりカエルは現実的だった
何も上手くいかず落ち着かないまま
その日もカエルは旅を続けていた
時折諦め蹲るカエルを見ては
腐りゆく姿に頭を振って
「必ず見つかる」と唱えながら
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