詩とお話でひとやすみ
時折聞こえてくる声。これでも「励まし」って言うんでしょうか?
どっちかって言うと、前向きなんです。
辛い時もありますよね。
腹が立つ時もあります。
「人達」のお話。
ある区切り目にきたようです。
応援したりもするんです。
ある日の出来事。
応援したりもするんです。
応援したりもするんです。
こんな気持ち。
ある区切り目にきたようです。
棚の上の牡丹餅
私は床に蹲っていた。
目の前には棚があり、その一番上には牡丹餅が置いてある。
それが欲しくて何度も試したが、何をしても結局、手が届かなかった。

疲れた私は、諦めて床を見つめていた。
すると上から、声が聞こえてきた。
「おい、これ、いらないのかよ?」
そいつは棚の上から私を見下ろしていた。
「届かない。」
私は不満げにそう答えると、また床に目を下ろした。
「やってみなきゃ分からねぇだろ。」
そいつは励ますように言った。
私はまた見上げると、不機嫌に答えた。
「試したよ。」
他に言う気力もなかった。
「じゃ、なんでそんなとこに座ってんだよ?」
放っておいてはくれないらしい。
「もう疲れた。」
会話をする意欲もない私には、そう答えるのが精一杯だった。
棚の上のそいつは、大きく溜息をつくと、分かりきった質問を私に投げかけた。
「牡丹餅欲しくないのかよ?」
まったく癇に障ることを言うものだ。私は苛立ちを抑えながら、そいつの顔を見て答えた。
「欲しいよ!欲しいから色々がんばってやったんじゃん!どうやっても届かなかったの!」
するとそいつは、不思議な顔をして当たり前のように私に言った。
「届くだろ。おまえ、本当に取ろうとしたのかよ?」
これには私も憤慨した。私は立ち上がると、手を精一杯伸ばして見せた。
「ほら!届かないの!」
そう言いながら今度は飛び跳ねながら、同じ台詞を繰り返した。
「ほら!届かないの!ほら!」
私の手は牡丹餅から10センチ位のところまでしか届いていない。
私は飛び跳ねるのを止めると、そいつを睨んだ。
するとそいつは困ったように私を見て尋ねた。
「で、床に座って落ちてくるの待ってんのかよ?」
別にそういうつもりではなかった。そんな都合の良いことが起こるはずのないことくらい、重々承知している。
「そうじゃないよ。ただ疲れただけ。」
するとそいつは一層困った顔で私を見てから、確認するようにまた質問を繰り返した。
「本当に取ろうとしたのか?」
さっき見せたじゃないか...と思いつつ、私は言った。
「さっき見せたじゃん。届かなかったの。」
その答えがそいつにはどうも納得いかないらしい。首を傾げながら呟いた。
「届かないはずないんだけどな〜...」
真剣に納得がいかない様子である。何が言いたいんだ...と多少苛立ちながら、私がそいつの顔を見ていると、そいつは私に説明しはじめた。
「あのなぁ、届かないような場所に、こんなもの置くわけないだろ。届くと思うから、この辺に置いてんだよ。」
不可解なことを言う奴である。私はそいつを見て訊いた。
「あんたがそこに置いたの?」
そいつは当たり前の様に答えた。
「おぉ。」
「じゃ、取って。」
と私が言うと、そいつは呆れた様に笑いながら言った。
「あのなぁ、自分で取らなきゃ意味がないだろ。」
「あるよ。食べたいもん。」
助けてくれれば良いではないか...そう真剣に思っていた。すると、そいつは、私の考えを察した様に、
「そんなホイホイおまえの欲しがるもんを手渡してちゃ、おまえの為にならないんだよ。自分で手に入れるから意味があるんじゃないか。」
そう言って私を見つめた。
まぁ、言っていることが分からない訳ではない。ただ、試しても無理だったのだから、仕方がない。
すると、そいつは、また私の考えていることを察した様で、
「他に方法があるだろ。よ〜く考えてみろよ。」
そう念を押すように言った。そして、もう一度私を見ると、首をかしげ、
「そろそろ届くと思うんだけどなぁ...」
と呟きながら、勝手に消えていった。

残された私は、相変わらず棚を見上げ、途方に暮れながらも、それまでとは何かが変わっている事に気がついた。何がどう変わったのか、今はまだはっきりとは言えないが、
「届かないはずはない」
というあいつの言葉が私の中の何かを動かし始めているようだ。

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