あなたのその眼差しも
正直な唇も
全部この瞼に焼き付けた筈なのに
時間が意地悪に私の眼を覆い
あなたの姿が少しずつ霞んでいく
あなたのあの呼び声も
真っ直ぐな約束も
いつまでもこの頭に響かせるつもりだったのに
時間が止め処なく話し続けるから
あなたの声が聞き取れなくなっていく
あなたのそのぬくもりも
私を引くその手も
いつまでも肌で覚えていたかったのに
時間が静かに私を洗うから
あなたの感覚が分からなくなっていく
時に逆らう力のない私は
薄れていくあなたの記憶を抱きしめて
沈む夕日と重ね合わせながら
切なく美しいあの恋歌を口ずさむ
寂しくただ一人でいつまでも口ずさむ
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