誰にも信じてもらえない、この存在を確かめたくて、
街へ出てみました。
行き交う人の優しさに触れたくて、
手を伸ばしてみました。
でもみんな、気付かぬふりをするばかり。
横目で冷たく見るばかり。
誰にも見てはもらえない、
気に掛けてももらえない、
そんな寂しさに崩れそうになった時、
ふと肩に誰かが触れた様な気がしました。
振り返るとそこには、優しい影。
「ここではないどこか。」
影はそう囁きました。
探すところが違うのだと...
「そこで待っている。」
そう言うと、影はそっと消えていきました。
「そこ」がどこなのか分からないけれど、
私を気に掛けてくれる人がいる。
それが分かっただけで、出かけて良かったと思いました。
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