「がんばったのにな...」
私はそう呟いて膝を抱くと
顔を埋めて丸まっていた
そんな私の肩を優しく
あなたは抱いて耳元で囁いた
「ほら、顔を上げてごらん」
その言葉に私は顔を上げると
哀れそうな目であなたを見つめ
慰めの言葉をおとなしく待った
そんな私をあなたは見ると
いきなり私の額をバシッと
平手で叩き話し始めた
「がんばってもダメなら今よりもっと
がんばって進むしかないじゃないか
そんな風に両手で膝を抱いてちゃあ
手も足も全然出せやしないだろう」
そう言うとあなたは私の両手を
持って私の両頬に当てると
ムニュッと私の顔を押し潰し
眉間にそっと口付けをしてから
ニッコリ笑って私の頭を
撫でてさっさと立ち去って行った
残された私は「慰めろよ...」と
内心不満に思いながらも
両手で顔をヒラメの様に
横に伸ばして元に戻すと
なんとなく立ち上がって歩き始めた
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