私は一人 海の底
ワカメの様にユラユラと
水の流れに揺れている
見上げれば水面を
人魚が光にキラキラと
輝きながら泳いでいる
私は一人 海の底
人魚の様になりたくて
両手をせっせと動かしてみる
錘の付いた足の鎖が
ガチャガチャ音を立てはするが
根付いた底を離しはしない
私は一人 海の底
手の届かない世界を見つめ
悔しさにボロボロ涙を流す
流した筈の涙はいつも
ユラユラ水の流れに混じり
悲しむ理由を溶かしていく
私は一人 海の底
見上げる事に疑問を覚え
凝った肩をゴキゴキ鳴らす
視線を戻すと目の前に
延々と続く海の底が広がり
私なりの可能性を問うている
私は一人 海の底
自分らしく生きたいと
思うとどんどん力が抜けた
気付くと私は蛸の様
鎖からスルスルと抜け出して
自由に海を泳いでいる
|