行きたいところばかりを気にし続けて 変えたいことばかりを念じた挙句 さっさと進んでいった理想の姿に 付いて来られず置き去りにされて 途方にくれている本当の私
眉間に皺を寄せた困り顔で 不器用に化粧を手にして見ては 訳が分からないと言った風に首を 振ってまた独り俯いている
そんな姿がやけに可愛く思えて 私は持った荷物を幾つか降ろすと 後ろ向きにそいつの横まで歩いて そいつの手を握りゆっくりと歩き出した