「願い事を一つ叶えてあげます」
その言葉に私は困惑をして
「三つじゃないんですか?」
と素直に聞き返した。
今度は相手が困惑した様で
「なぜ三つだと思うんですか」
怪訝そうに聞き返してきた。
「だっていつも三つなんでしょ」
当たり前の様に言う私に
そいつは一層困惑をした様で
「どうして三つもあるんですか」
困り顔で私に問い返している。
そんな事を聞かれても私も困る
(どの昔話も願いは三つ
そう決まっているではないか。)
心の中でそう呟きながら
どう説明するか思案していた。
いつまでも考えている私を見て
そいつは申し訳なさそうに話しかけた。
「あの〜...決めていただかないと
次に移って行けないんですが...」
そんな急かされても私も困る
「三つなら決めていたんですが...」
呟く私を困り顔で見つめ
そいつは溜息と共に呟いた。
「決まるまでここにずっといますから。」
今日も一つに決めかねている私は
そいつとお茶の時間を過ごしている。
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